丹波みの香ファーム 古谷浩二郎さん(第1期・卒業生)
「畑が自分の看板」——みの香ファーム・古谷浩二郎さんの挑戦
大阪で生まれ、東京でシステムエンジニアとして働いていた古谷浩二郎さん。家庭菜園が趣味だった彼が、今では丹波の地で「丹波 みの香ファーム」として独立就農し、3年目を迎えています。農業も田舎暮らしも初めて。それでも地域にしっかり根を下ろせた理由を伺いました。
転機は、貸し農園から届いた一枚のチラシ。「丹波市立 農(みのり)の学校」の募集案内でした。有機農業を学べるその内容に心惹かれ、奥様と現地説明会に参加。都会では出会えなかった人の温かさや自然の豊かさに触れ、移住を決意しました。当時40代前半。新規就農者支援制度の年齢制限(45歳まで)も後押しになったといいます。
移住にあたっては、丹波市の移住定住相談窓口のサポートを受け、元店舗を改装した物件を紹介してもらいました。広い土間が作業に便利で、自治会とのマッチングも事前に行われたため、地域との関係づくりもスムーズ。「草刈りや溝掃除など、地域行事も自然に参加できました」と笑顔を見せます。
農の学校で学ぶうちに、家庭菜園とはまったく違う「仕事としての農業」の厳しさと面白さを実感。卒業後は地域の方の紹介で農地を得て、スムーズに独立就農を果たしました。「本当に人に恵まれました」と古谷さんは振り返ります。
就農後は、地元スーパーの直売コーナーや学校給食、農業総合研究所など多彩な販路を確立。営業活動をせずとも、整然とした畑の姿勢が信頼を生み、地域から販路の紹介が舞い込みました。「畑こそが自分の看板。見られていることを意識して、丁寧に管理しています。」
現在は年間20品目以上の野菜とハーブを栽培。奥様はハーブを使ったアロマオイルやスプレーを製品化し、イベントやネット販売も行っています。「まだ繁忙期と閑散期の差が大きいので、年間を通して安定した収益を目指したい」と語る古谷さん。
ITから農業へ——大きな転身を経ても、真摯に学び、地域と歩む姿勢は変わりません。
