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にしかわ農園 西川朋樹さん (第4期・卒業生)

一生続けられる“仕事”を探して──丹波の地で見つけた「農」という生き方

「人生百年時代」と言われる今、60歳を過ぎても元気に働く自分の姿をどう描くか。
そんな問いが、西川さんを農業へと導いた。

「実家の周りでは、70代や80代のおじいさんたちが畑に出て、いきいきと働いていたんです。ああ、農業って年を重ねても続けられる仕事なんだ、と感じました。」

もともと実家の小さな畑を月に数回手伝っていた村上さん。思い通りにいかないことも多かったが、そこに「一生追いかけられる面白さ」を見つけた。
「野菜づくりって、正解がないんですよ。うまくいくときもあれば失敗もある。その繰り返しが楽しくて、飽きない。死ぬまで“あーでもない、こーでもない”と考えていける気がしたんです。」

本格的に学びたいと思ったとき、出会ったのが兵庫県丹波市の「農の学校」だった。
「野菜全般を学べること、そして何より実習時間の多さに惹かれました。理屈だけなら本でも読めるけれど、実際に土に触れて学ぶのが大事。自分にはこの環境がぴったりだと思いました。」

決定打になったのは、一枚の写真。
「農の学校の紹介ブースに飾られていた畑の風景がすごく綺麗で、“ここで農業を学びたい!”と一瞬で惚れこみました。妻と一緒に現地見学に行ったときも、そのままの景色があって感動しました。」

実際に学んでみて印象に残っているのは、植物生理学や土づくりの授業、そしてマーケティングの講義だという。
「農業経営って、作るだけじゃないんですよね。ある農家さんが話していた“クロージング”の考え方にはハッとしました。顧客を無限に増やすより、固定客の満足度を保つことが大切。僕も“家族のように付き合えるお客さん”に全力でおいしい野菜を届けたいと思っています。」

笑顔でそう話す村上さんの姿を、妻もよく写真で見ているらしい。
「『いつも笑ってるね』って言われます(笑)。実際、楽しいんですよ。」

これから目指すのは、野菜を通じて人とつながる農業。
「『このナス、どうやって作ったの?』って思ってもらえるような関係を築きたいです。畑にも訪ねてきてもらって、野菜のストーリーを感じてもらえるような。妻とも、“気に入ってくれたお客さんを自宅に招いておもてなししたいね”と話しています。」

最後に「どんな野菜を作りたいですか?」と尋ねると、静かにこう答えた。
「丹波の気候や土に合った、ここでしか出せない味の野菜を極めたい。丹波だからこそ作れるものを、自分の手で追い求めていきたいです。」